vol.7 Yellow Yoga イエローヨガ/Berlin

イエローヨガ / Yellow Yoga若手アーティストや外国人で溢れ、町中いたるところにショップやカフェが沢山立ち並ぶ活気溢れるベルリンは、ホリスティックヘルスに対する関心が高いことでも知られる。ベルリナー(ベルリンに住む人のこと)に人気のヨガスタジオを、イタリア・パドヴァでヨガスタジオ「OJAS –yoga & ayurveda-」を主宰するヨガインストラクター、大西枝美さんがナビゲートしてくれました。

冬場にヨガ人口が増える、ベルリン

ホリスティックヘルスに注力するドイツでは、病院での指圧治療や保険制度を利用したヨガクラスの受講が可能だ。人口350万人都市の首都ベルリンは、ハンブルグやフランクフルトなどの都市と比較すると経済的に豊かなではないものの、ベルリナーのホリスティックヘルスに対する意識は高く、生活のあらゆるシーンで自然との共存と健康が第一に優先される。氷点下15度以下にもなる長く厳しい冬の間に、ヨガの需要が高まることからも、ベルリナーのライフスタイルにヨガが溶け込んでいることが分かるだろう。

所得でレッスン料が決まるベルリンスタイル

クロイツベルグ地区にベルリンらしいヨガスタジオがあると聞いて「イエローヨガ / Yellow Yoga」を訪れた。2011年にオープンしたこのスタジオには、ドイツ、イタリア、スペイン、英語を話す国際色豊かなインストラクターが在籍し、それぞれライター、画家、シンガー、ダンサーといった肩書きを持つ多才なインストラクターによる個性豊かなヨガクラスが行われる。そしてもうひとつ、イエローヨガに多彩な人々が集まる理由のひとつに「所得別料金設定」がある。例えば、月収700€以下の人が90分のヨガレッスンに支払う料金(6€=約1,000円)と、月収1000€以上の人が支払う料金(12€=約1,700円)には、6€の開きがあるのだ。(1€=約140円 ※2014年2月現在)

<写真>スタジオ内は陽が当たる気持ちのよい空間。国際色豊かで多彩な才能、多様な人種が集まるYellow Yogaは、大きな家族のようでありベルリンの縮図のようでもある。

ドイツ語を理解できなくても、自分らしくいられる場所

そして、90分のヨガレッスンの他に、4€~8€で受けられる60分のレッスンもある。イエローヨガはベルリンで初めて「所得別料金設定」を導入したスタジオで、「無職の間は少し低いレッスン料が支払い、仕事復帰したら通常料金を払ってもらう。経済的にゆとりがある方はたくさん支払われる場合もあります。このシステムの導入により、20-40代の中流階級だけではなく、戦後移民としてやってきたトルコ人や他の層の人達にも今後ヨガが浸透していけばと思っています」と話すオーナーのクラウディアさんの言葉に、経済的な豊かさだけを水準とせず、リベラルでリラックスした“ベルリンらしさ”を見つけた気がした。ドイツ語が理解できない人でも、訪れたその日からベルリナーとして温かく迎え入れられるだろう。

<写真>(左)インストラクターのジュリーさん(Julie Blumenthal)はニューヨークから移住してきた。ヴィンヤサヨガクラスを英語で担当している。キルタンシンガーでもある。(右)イエローヨガのオーナーの1人、クラウディアさん(Claudia Dietrich、左)。心理学者でもありパフォーマンス教育プログラム スマッシュ・ベルリン にも携わる。インストラクターのヴィクトリアさん(Victoria Larsson、右)はスェーデン出身。ベルリンでは数少ない陰ヨガインストラクターだ。小説家でもある。

Text : Emi Onishi(OJAS) , Photo : Courtesy to Emi Onishi and The YELLOW YOGA.